QIT47で研究室から2件発表しました

慶應義塾大学矢上キャンパスで開催されたQIT47(2022年12月8日–9日)にて,研究室から以下の2件の発表を行いました.

1件目

  • タイトル:近似量子フーリエ変換を用いた量子位相推定アルゴリズムの成功率評価
  • 著者:桂潔成,國廣昇
  • 概要:現在インターネット上で広く利用されているRSA暗号は,大規模な量子コンピュータが実現するとショアのアルゴリズムによって現実的な時間で解かれることが知られている.ショアのアルゴリズムでは,ゲート数削減のため,角度の小さい位相回転ゲートを削除する近似が行われるが,近似パラメータとアルゴリズムの成功確率とのトレードオフを知ることは,利用可能な計算リソースや扱う問題サイズから近似パラメータを決定する際に重要になる.本研究では,近似フーリエ変換を用いた量子位相推定の近似パラメータと成功率のトレードオフを明らかにする.そのために,アルゴリズムの成功確率を数値計算により評価した.ショアのアルゴリズムは量子位相推定の応用例であり,位相推定に対する成功率評価がそのまま適用できる.これにより,近似パラメータを適切に設定することが可能となる.

2件目

  • タイトル:効率的な近似量子フーリエ変換を利用したShorアルゴリズム
  • 著者: 大西健斗(三菱電機),國廣昇
  • 妙録:Shorアルゴリズムは,素因数分解問題や離散対数問題を多項式時間で解く量子アルゴリズムであり,その計算量評価は,実社会にとって極めて重要である.本稿では,Shorアルゴリズムの実装方法の一つである,量子フーリエ変換(QFT)を利用したRinesとChuangの実装方法の改良を行う.本稿では,新たな近似QFTの実装方法を提案し,その近似QFTをRinesとChuangの実装方法に適用することで,$T$ゲート数が1/3,$T$-depthが$1/2$に減少することを示す.その上で,KQを最小にする量子回路のスケジューリング方法を提案する.