QIT49で研究室から1件ポスター発表をしました
沖縄県OISTで開催されたQIT49(2023年12月17日—19日)にて,研究室から以下の1件のポスター発表を行いました.
- タイトル:量子読み出し専用メモリの効率化とNISQデバイスを想定した小さな整数に対する素因数分解への適用
- 著者: 桂潔成,國廣昇
- 妙録:ショアの素因数分解アルゴリズムの発見により,現在用いられているRSA暗号が将来的に解読可能となることが知られている.そのため,解読可能な時期を正確に見積もるために,現在の実機の持つ素因数分解能力を評価する必要がある.ショアの素因数分解アルゴリズムの実機による実験は行われているが,汎用回路構成ではCX深さが大きく実験が困難なことから,回路の大幅な簡略化が行われており正確な評価となっていない.また,複数提案されている汎用回路構成の中で,小さい整数の素因数分解に対してどれが最も効率的かどうかは明らかではない.そこで本研究では,汎用回路構成の効率化のために,構成要素の一つである量子読み出し専用メモリのより効率的な回路構成を提案する.加えて,複数の素因数分解回路構成をqiskit上で実装することで,小さい整数の素因数分解を行う場合に最も効率的な回路構成とその計算リソースを明らかにする.結果として,量子読み出し専用メモリの改良により素因数分解回路のCX深さを$16%$改善し,$N=21$の素因数分解に$24$量子ビット,CX深さ$8187$の量子回路で実現可能であることがわかった.しかしながら,現在のNISQデバイスの性能では依然として実験は困難であり,更なる効率化が必要である.